ブリッジ・トゥ・ヘル

(Bridge to Hell 1986 米・伊)


 この作品を見たのも随分前になります。当時、僕はレンタル・ビデオ屋へ足げく通っていました。そんな時に出会ってしまった一本がこの作品です。
 借りたビデオ・テープを店に返しに行くと、特に見たい作品がなくても、一通り棚に目をとおすことが習慣となっていました。そして目についたのが、この「ブリッジ・トゥ・ヘル」だったのです。

 いかにも安っぽいジャケット、監督も出演者もまったく知りません。当然劇場未公開です。ただ、気になったのは「時は第二次世界大戦、ドイツ軍のメッサーシュミットを相手に旧式の複葉機で、脱走した米軍兵士が戦いを挑む。こんなアイディアあふれる傑作が埋もれていた!」といったようなジャケットの解説でした。

 戦争映画好き、航空映画好きの僕としては、「メッサーシュミットと複葉機のドッグファイト」と聞いて(読んで)、とてもそそられるものがありました。しかしジャケットを見る限り、どう考えても駄作としか思えません。借りるべきか、止めるべきか、なんという心の葛藤!(そんなに悩む問題じゃないってか)

 結局、借りて帰りました。思った通り、いや、それ以上の駄作でした。これほどひどい映画は初めてでした。ここまでひどいと怒る気にもなれません。細部は覚えていませんが、場面のつながり、ストーリーの流れ、カットのつなぎがあまりに不自然でいいかげんなのです。高校生の文化祭の映画と比べても見劣りするような出来です。こんな作品に使う金があるなら、俺に映画を作らせろ、と本気で思ったほどです。

 ストーリーは、脱走した連合軍兵士がパルチザンに助けられ、前記のドッグファイトとなるのですが、メッサーシュミットの登場場面は他の映画の使いまわしのようで、複葉機とのツーショットなんて当然ありませんでした。ただ、このメッサーシュミットと複葉機のドッグファイトは「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」(1989 米)に先駆けている点は評価したい。(スピルバーグはこの作品からパクったのか?)

 主演はアンディ・フォレストジェフ・コナーズ(知らんぞ、まったく)
 監督はウンベルト・レンツィという人ですが、調べてみると、なんと60年代から80年代にかけて二十数本の作品がありました。どれも見たことも聞いたこともない作品ばかりでしたが、ジャック・パランスクルト・ユルゲンス主演の「激戦地」(1968 伊)、キャロル・ベーカー主演の「殺意の海」(1969 伊・スペイン)といった、けっこうメジャーな出演者のものもありました。

 普通とは違った意味で、忘れられない作品、そして、もう一度見てみたい作品でもあります。

(2005.05)




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