狂った果実
(1956 日活 86min モノクロ)
夏の暑い日、何か夏っぽい映画はないものかと、撮り溜めしたビデオの中に見つけたのがこの作品でした。邦画の人気投票などでよく見かけるこの作品、予備知識だけは以前から持っていましたが、見たのは初めてでした。
「邦画はつまらない」という先入観念を持って、ほとんど期待せずに見始めたのですが、見事に僕の予測を裏切ってくれました。
遊び人の大学生、夏久(石原裕次郎)と、奥手な弟、春次(津川雅彦)は海で恵梨(北原三枝)と出会う。春次は恵梨に一目惚れし、やがて春次は恵梨とデートを重ねるようになる。
恵梨は実は二十歳の人妻で年上の米国人の夫がいる。それを知った夏久は弟が恵梨にオモチャにされているという怒りと、恵梨をものにした弟に対する嫉妬心から恵梨に近づく。
恵梨は精神的には、純粋な春次に惹かれ、肉体的には、夏久に惹かれ、ふたりと関係を持つ。やがて、夏久は春次から恵梨を奪うべく、ヨットで恵梨と海へ出る。兄の抜け駆けに気づいた春次はふたりのヨットを追い、モーターボートを走らせるのだが・・・
夏の湘南を舞台に、モーターボート、水上スキー、ヨットなど、雰囲気も良く、ひとりの女性をめぐり、兄弟の葛藤がよく描けており、ドラマティックで娯楽性あふれる作品になっていると思う。
また、裕次郎を中心にした若者グループが、目標も持てず、エネルギーを持て余し、世間に対し反抗的な感情を持っているあたり、今も昔も(そして自分の十九、二十歳の頃も)一緒なんだなぁ、と妙に感心してしまいました。
津川雅彦や岡田真澄(若者グループのひとりとして登場)というと、現在の印象が圧倒的に強いですが、この作品での若々しさに随分とギャップを感じました。
(2005.05)