怒りの荒野

(I Giorni dell'Ira(Day of Anger) 1967 伊 115min (米版 83min))


怒りの荒野  B級魂の宝庫といえば、やはりマカロニ・ウェスタンでしょう。ジャンル自体がまさにB級そのもの(セルジオ・レオーネ作品は除くにしても)。

 1970年代の前半頃はTVの洋画劇場は西部劇ばやり。そして、イタリア製西部劇であるマカロニ・ウェスタンの放映数もかなりのものでした。当時、僕もかなりはまって見ていました。その中でもお気に入りだったのが、この「怒りの荒野」です。

 私生児としてさげすまれ、街の汚れ仕事で食いつないでいる青年スコットがジュリアーノ・ジェンマ。そして、ふらりと街に現れる初老のガンマン タルビーにリー・ヴァン・クリーフ。ガンマンに憧れ、自分を虐げた街の人々を見返してやろうとする青年スコットは、タルビーに弟子入りする。タルビーはこの街の有力者たちに裏切られた過去があり、その復讐とともに街を乗っ取り、ここを最後の安住の地にしようとする。

 若々しいジェンマと、年輪を感じさせるクリーフ。このふたりの個性がうまく生かされており、クライマックスの宿命の対決までが、なかなかドラマチックに描かれていたと思います。
 劇中、”ガンマン十ヶ条”なるものを、タルビーがスコットに教え込むのですが、この趣向が面白く、当時、友人と一生懸命覚えたものでした。

 監督はトニーノ・バレリ。音楽は「世界残酷物語」主題曲「モア」で有名なリズ・オルトラーニで、カッコいいテーマ曲を聴かせてくれます。

 ジュリアーノ・ジェンマは当時、日本ではかなりの人気がありましたが、アメリカでの人気はイマイチだったようです。米盤のサントラのジャケットではまるでリー・ヴァン・クリーフが主役扱いです。

 以前、東芝より発売されたビデオはオリジナル全長版とうたっているわりには90分弱しかなく、TV放映よりも短いものでした。
 2002年に発売になったDVDは112分のイタリア版でした。また、このDVDには特典として83分の米国公開版が収録されており、前記のビデオはこの米国版をマスターにしていたようです。

  ガンマン十ヶ条
一、人にものを頼むな
二、人を信用するな
三、的と拳銃の間に入るな
四、パンチも弾丸も最初の一発がものを言う
五、相手に傷を負わせたら必ず殺せ
六、危険な時ほどよく狙え
七、相手の縄を解く時は、まず拳銃をとりあげろ
八、いかなる場合も、相手に必要以上の弾丸を与えるな
九、どのような相手でであれ、挑戦されたら応じなければならない
十、殺し始めたら皆殺しにするまで止めるな

(2005.05)

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